さて、今回は「体液」について書いていきます。
当院の整体でも、基本としている一つが「体液」の流れです。
整体で筋の硬さや骨のズレなど、個体的なものを整えていくのはイメージがつきます。
しかし、体液の流れを整えることも整体では非常に重要な要素です。
体液とは、ざっくりいうと「身体の中の水分」になります。
この体液が身体の中を流れる「川」だとすると、流れるために「水路」が必要です。
この水路となる部分が血管やリンパ管といわれる、いわゆる「脈管」になります。
この脈管は、筋肉や骨、膜などで道がふさがってしまうので、
筋や骨などを整えることは、この水路の流れを確保するともいえます。
そうなると、筋や骨の調整をすることで、体液の流れがスムーズになります。
大まかな説明ですが、体液の流れを整えるとはこのような目的があります。
それでは、体液とはどのような役割があるのか。
そして、日々の生活で体液の流れを保つためにどのようなことを気を付ければよいか。
今回はそれを知っていただきます。
本日の参考本は、整体師であり女性治療家塾ヘルメス塾長でもある片平悦子さんの著書
「「3つの体液」を流せば健康になる!」です。
コチラの本、体液について非常に分かりやすくまとめられています。
興味のある方はこちらの本を見ていただくとよくわかります。
それでは、いつものように3つの項目にまとめていきます。
1.体液とは何か
2.身体の不調は体液が関わっている
3.「流れる」ための3選
それでははじめていきましょう。
1.体液とは何か
身体の中にある水を「体液」といい、大きく3つに分けられます。
①血液
②リンパ液
③脳脊髄液
この3つの体液の循環を良くすると、身体は自然治癒力が増し、疲れ知らずの健康な身体を手に入れることができます。
何故なら、体液は身体の60~70%を占めているからです。
骨が骨としてはたらくためには、
内臓が内臓としてはたらくためには、
筋肉が筋肉としてはたらくためには、
それらが必要としているものを届け、いらないものを持ち去る役割が必要です。
それが「体液」です。
健康であるための体液の条件は2つあります。
①必要十分な体液が確保されていること(シワシワにならないために)
②必要十分な体液がサラサラと流れていること(水が腐らないために)
①に関しては、排出する以上の水が水分補給などで補われていれば問題ありません。
②に関しては、循環の状態を意味します。
そこで、体液の流れを水路に例えてみましょう。
・「健康」=水路がきれいに掃除されて水がサラサラと流れている状態
・「疲労」=水路が詰まったりして流れが悪くなっている状態
・「コリ(肩こり・腰痛など)」=水路の水がヘドロ状になった状態
・「重だるい、痛い、苦しい」=ヘドロが餅のように流れを詰まらせている状態
最初にお伝えしたように、骨のズレや筋肉の硬さが体液の水路を塞いだり、水分が足りずサラサラじゃなくなることで、健康ではなくなり不調を起こしてしまいます。
そして、体液の循環には何より「吸収と排出」が欠かせません。
水そのものを飲んだり、食事摂取により野菜などに詰まっている水分を吸収する。
身体の老廃物を水分とともに排出する。
このサイクルがないと、サラサラとした綺麗な体液を保つことができません。
さて、ここで3つの体液についてまとめます。
①血液
血液は心臓によって加圧され、動脈を通じて全身へ送られます。
毛細血管に到達すると、細胞に栄養や酸素を供給し、静脈を経て心臓へ戻ります。
したがって、血液は身体内部の栄養供給の役割となります。
②リンパ液
リンパ液は、傷ができた時に見られる無色透明の液体です。
リンパ液の役割は、主に老廃物を運ぶことです。
老廃物回収と運搬という働きは静脈を通る血液と同じですが、大きな違いは老廃物の大きさです。
リンパ管では血管に回収しきれなかった大きなゴミを運搬しています。
また、リンパ液は身体にとって有害な細菌やウイルスをリンパ管の途中にあるリンパ節でろ過し、有害物質から身体を守っています。
例えば風邪をひいて喉が痛いときに、顎の後ろや首のリンパ節の部分が腫れ、触ると痛かったりします。
これはリンパ節内でウイルスとリンパ液が戦っている状態ということです。
もし仮に、リンパが循環しなかったらどうなるでしょうか?
運びきれなくなった老廃物が溜まって、流れなくなった排水溝のようになります。
そのまま排水溝が詰まったらどうなるでしょうか?
溜まった水はどんどん汚れていきます(=悪液質)。
老廃物が溜まり続けると、その影響で栄養素が細胞に行き届かなくなり、細胞が栄養失調状態になります。
ガン患者の死因の50%以上は、この悪液質による細胞レベルの栄養失調状態といわれています。
③脳脊髄液
解剖学など学んでないと、まず聞いたことがないと思います。
脳脊髄液とは、頭蓋骨と脊柱の中にあって、脳と脊髄を守る液体です。
リンパ液のように無色透明で、弱アルカリ性。
脳脊髄液は1日あたり500ml程度つくられ、脳の中を循環しています。
脳や脊髄を外部の刺激から守り形を保つため、脳内を常に循環し、脳の保護や栄養供給をしています。
脳脊髄液を例えるなら、「パックに入った豆腐」です。
豆腐のパックを壁にぶつけても、中に水があるため形を崩すことはそうそうないですよね。
ヒトも転んで頭をぶつけたときに、頭蓋骨には大きな衝撃がかかりますが、柔らかい脳が崩れてしまわないのは脳脊髄液が緩衝材の役割を担っているからです。
「水頭症」などで脳脊髄液に圧力がかかってしまう、交通事故で脳脊髄液が漏れてしまうことがあります。
そうなると、脳が圧迫されて、頭痛、嘔吐、けいれん、精神症状など様々な症状を引き起こし、深刻な後遺症を残す場合もあります。
また、脳脊髄液の生産と循環がうまくいっていないときは、
・疲れた状態が続く
・気力が続かない
・やる気が出ない
・いつもだるい
・身体が重い
などの症状を起こすことが多いです。
以上のように、体液には様々な役割があるのです。
2.身体の不調は体液が関わっている
身体は「水風船」みたいな状態になっています。
したがって、ざっくりいうと人間の身体の中は
皮膚で覆われた水の中に、生きていくために必要な要素がプカプカ浮いている状態になります。
ここでいう「水」とは、先ほどお伝えした体液=血液・リンパ液・脳脊髄液などです。
そして「必要な要素」とは、筋肉、骨、内臓などの人体を構成するものです。
このような概念で身体の不具合を考えると、
肩こりがあるからといって肩を揉んでも、体液の流れが保たれていないと症状が改善できないことがわかります。
そもそも、筋肉が硬くなっている場合のいわゆる“コリ”とは、血行不良により筋肉に酸素が行き届かず、乳酸が溜まった状態です。
体液の流れがスムーズでないということは、酸素を供給できない、乳酸などの老廃物が溜まってしまいます。
そのため、体液の流れがいかに重要なのかが分かります。
姿勢の悪さや骨盤の歪みも、体液の循環を阻害する要因になります。
身体の構成がズレることで、体液循環という水路を閉ざしてしまい、循環障害に陥ります。
そうなると、身体の様々な部位に体液が行き届かず、コリや重だるい、痛みなどの症状が起きていきます。
このように、身体の不調を考える上で、この体液循環という考えはとても重要だということが分かっていただけたかと思います。
3.「流す」ための3選
それでは、ここで体液の流れをスムーズにするための方法を本から3つほど厳選してお伝えします。
①リンパを流すための股関節解放ストレッチ
鼠径部が固いと、リンパの流れが滞ってしまいます。
滞るとどうなるか。皆さんが経験したことのある「足のむくみ」などの症状が現れます。
ということで、鼠径部を柔らかくしてリンパを流していく方法です。
股関節を約30°ほど開くと、股関節が楽になります。
その姿勢で膝を立て、膝を左右に倒す運動を行います。
これにより、鼠径部を柔らかくしてリンパの流れを促します。
②ふくらはぎのマッサージ
ふくらはぎは、身体の末端から血液を心臓に戻すためのポンプの働きをしています。
ふくらはぎの筋肉が収縮すると、間にある静脈管がぎゅっと圧縮され、この圧縮力で血液を心臓の方に押し上げます。
圧縮が解除される時は、重力方向に戻らないように弁がついています。
ふくらはぎが硬いと、ポンプがうまく働かず循環が滞ってしまいます。
そのため、ふくらはぎを柔らかくしてこのポンプ機能を高めていきます。
本では、ふくらはぎを足首から上へ気持ちいい程度の強さで揉んでいくことを推奨しています。
③脳脊髄液のケア
整体では、頭蓋骨を触診して脳脊髄液を調整しますが、セルフケアでは仙骨を使います。
1.仰向けで腸骨を掴み、恥骨の方に押し下げる
2.身体の力を抜いて、左右交互にかかとを2cmほど押し出す
3.足を同時に左右にゆっくり動かす
これを5~10回ほど行います。
ちょっと難しいことを書きますが、
脳脊髄液が産生されるときに、頭蓋骨の中にある後頭骨と蝶形骨がリズミカルに動きます。
そして、この動きは仙骨も連動しています。
このリズムを促していくための仙骨を利用したセルフケア方法になります。
これらの運動を行うことで、体内の循環を整えることができます。
ということで、今回は「体液」についてまとめました。
整体では、身体の構造を整えていくとともに、この体液の循環も整えています。
施術後はよく、「身体の中が流れている感じ」とか「温泉に入った後みたいな感じ」などの感想をいただきますが、それは循環の調整によるものだと思います。
今回の情報で、みなさんでもある程度循環を整えていくことができると思います。
是非、サラサラボディを目指して頑張ってください(*'▽')
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